献体の手続きを行うに際しては、いくつか頭に入れておくべき大切なポイントがありますので、ここではそれらの中から主だったものを紹介します。
必ずしもすべてがそうというわけではありませんが、一般的には献体は高齢者が優先される傾向にあります。研究機関によっては60歳以上でなければ献体登録ができないといったように、一定の年齢制限を設けているところもありますので、もし若いうちから登録を考えているのであれば、事前にそういった条件が付されていないかどうかを確認しておくようにしなければなりません。
献体された遺体は、すぐに解剖されるわけではなく、脳などの一部の部位を取り除いた後で、防腐処理を施した状態で保存されます。場合によっては、翌年まで解剖されずにそのままというケースもあるため、遺族のもとに遺体が戻るのは亡くなってからかなり経ってからになる可能性があるという点に注意しなければなりません。また、返還される際には、火葬されて遺骨の状態になっているのが通常です。献体に出した後は故人の顔を見ることはできないので、その点についても遺族の理解を得ておくようにする必要があるでしょう。
献体登録を行うためには、少なくとも2名以上の親族の同意が必要となります。そのため、自分だけの意思で献体はできないという点を頭に入れておかなければなりません。親族の中には、身内の遺体が解剖されるということについて抵抗感を覚える人もいるかもしれません。そのような親族がいるにもかかわらず、本人の意思だけで献体を強行してしまうと、後々になってトラブルの原因となるおそれもあるため、献体を行う際は親族の同意も求められるようになっているのです。
前述の通り、献体を行うと、数年間は遺体は遺族のもとには戻ってこず、返還時には既に遺骨の状態になっています。では、献体時にはどのように葬儀を行えばよいのでしょうか。以下で見ていきましょう。
葬儀の前に献体を行う場合には、遺体がない状態で葬儀を執り行います。遺体の有無以外は通常の葬儀と変わりませんが、さすがにそれでは寂しいということで、後日、親しい人を集めてお別れの会を開催するケースも少なくないようです。葬儀だとどうしても時間に追われてバタバタになってしまいますが、お別れの会であれば時間をかけて準備が行えるというメリットがあります。
先に葬儀をしてから献体を行う場合には、時間との戦いになります。というのも、献体は死後48時間以内に行わなければならないからです。そのため、亡くなったその日にお通夜を行い、翌日に葬儀をしたうえで、そのまま遺体を大学などに搬送するか、お通夜は行わずに葬儀だけの一日葬で済ませるかのいずれかとなります。故人が亡くなったことを周知する時間がないため、このやり方の場合には、どうしても葬儀に参加できるのは、親族と一部の知人に限られがちです。
以上で見てきたように、献体は将来の医療従事者を育てる大切なものであり、医療が進歩を遂げていく上では不可欠です。もっとも、遺族の中には献体することに精神的な抵抗感を覚える人もいるかもしれません。そのため、死後にトラブルにならないよう、献体するかどうかを決める際には、周囲の人の同意を得るようにしましょう。
以上で見てきたように、献体は将来の医療従事者を育てる大切なものであり、医療が進歩を遂げていく上では不可欠です。もっとも、遺族の中には献体することに精神的な抵抗感を覚える人もいるかもしれません。そのため、死後にトラブルにならないよう、献体するかどうかを決める際には、周囲の人の同意を得るようにしましょう。
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