葬儀に送るお花の札の順番は送られた喪主側が葬儀当日に考えるべきとても重要な仕事になります。失礼ない形で供花を飾り付けができるように一般的なマナーを学んでいきましょう。
葬儀のあり方は、地域の風習や表現方法などにより必ずしも一通りではありませんが、供花の一般的な札の順番については基本的な決まりを理解し参列者に失礼のないようにしておく必要があります。供花の名札は原則として、故人に近しい人の順に、祭壇すぐ横の上段右側が1人目、次に祭壇脇上段の左側が2人目と、右左交互に配置していきます。そして最上段が埋まったら、一つ下の段に下りて、再び祭壇脇より右左交互に血縁関係が近い順で並べていきましょう。故人と最も近い関係に当たる祭壇の右側最上段は、通常喪主の札が配置される位置です。喪主の次には喪主の兄弟、喪主の子供、さらには故人の兄弟、故人の配偶者の兄弟といった順序で続きます。故人の家族・親戚関係を並び終えたら、故人の友人の札、続いて故人の仕事などでの関係者(故人勤務の会社)の札を並べるのが一般的なやり方です。
もちろんこうした基本的な決まりを理解していたとしても、それでもどちらを先に並べればいいのか迷うケースも出てくるかもしれません。もし、葬儀前に一部の親族と対話する機会があれば、札の配置順について誤解が生まれないよう事前確認しておくのもお勧めです。また、地域独自の葬儀風習などは一般人ではなかなか把握するのが難しいため、諸事情に詳しい葬儀社に正しい順序について相談するのもよいでしょう。供花の名札配置はお通夜前の慌ただしいタイミングとなることが多いので、前もって配置順リストなどを作成し余裕を持った対応を心掛けてください。
夫婦で供花を送る場合、札の名前の記載方法はおおきくわけて二つあります。
一つは、夫婦の苗字+夫の名前+妻の名前と連名にする形です。一般的には、夫の名前を右に記載します。夫婦連名でも問題はありません。
もうひとつは、夫の名前のみを記載して夫婦または家族からの供花とすることです。
ここ数年で考え方は変わってきていますが、夫婦を連名記載にすると、別居もしくは離婚した状態であると解釈される場合が今でもあるようです。
かつて、供花は「家」から贈られるものという考え方がありました。その名残りで、夫婦ないしは家族からの供花は夫の名前のみを記していたのです。
どのように名前を記載するかは、供花を贈る相手によって異なります。ほかのご親族が夫の名前のみで出していればそちらに合わせるとか、夫婦の共通の友人であれば連名で出すとか、場合によって異なる記載方法で供花を贈っても問題はありません。
心配であれば、ほかに供花を贈られる方や喪主、葬儀社に相談してみてください。
「一同」は葬儀において汎用性のある表現で、供花の札に「一同」を使用するケースはかなり多く見られます。一般的に一同と聞くと、10人程度の集団を指す言葉のように捉えがちですが、2、3人の親族が供花を贈るというケースでも問題なく「兄弟一同」、「子供一同」、「親戚一同」といった表現で一同を使用できます。逆に、夫婦の例からも明らかなように、供花の札に連名で記載するというやり方はあまり頻繁には用いられません。葬儀場にはどうしてもスペース上の問題もあるため、「一同」とまとめることで供花を飾るスペースを節約できるという運営上のメリットも生まれます。もし、ぜひ連名で供花を手配したいというのであれば、三兄弟で贈る場合は右から順番に長男、真ん中が次男、左端に三男といった記載マナーを守るようにしましょう。
故人が勤めていた会社、もしくはその会社の一部の人々が供花を贈る場合にも、「一同」を活用するケースが多いです。会社から連名で贈るというパターンも一部ありますが、肩書が上の人から右側より順々に書くというマナーがあったり、人数が多いと全体のバランスが悪くなったりもするので、シンプルに「一同」とまとめておいた方が手違いなども起きにくく無難な選択でしょう。まず、完全に会社名義で供花を準備する場合は、札には「会社名代表者役職名代表者名」と記載します。部課単位で贈りたい場合は、「会社名部課名一同」というように一同を利用して表記できます。部署内の、特に親交のあったメンバーだけで贈るならば、「会社名部課名有志一同」といった記載で問題ありません。
このように、「一同」のおかげで簡潔表記することができるうえ、個人名を記すケースのように誰を代表とすべきか、どの順序で記すべきかといった付随的な問題が生じないのが大きな利点です。
葬儀は故人を偲び、遺族にお悔やみの意を伝える大切な儀式です。勝手な個人的思い込みで、遺族や参列者に誤解を生じさせるような事態となっては、葬儀に参加する全ての人にとってマイナスです。特に、葬儀はその儀式の性質上、結婚式以上にマナーや風習に則った振る舞いが重んじられる側面があります。気になることがあったら、疑問点を放置せず経験のある知人や葬儀業者などにその都度相談する姿勢が大切です。
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