葬祭費(埋葬料)とは、人が亡くなった際に葬儀を開催する人に対して支給される給付金のことを言います。葬祭費の正式名称は「葬祭費補助金制度」であり、こちらは亡くなった人が国民健康保険や後期高齢者医療制度を利用していると、故人が住んでいた自治体に申請を行うことで受け取ることができます。葬祭費の平均はだいたい5万円前後。自治体によって金額が異なるので確認が必要です。
また、亡くなった人が会社員で社会保険に加入していた場合もしくは公務員などで共済組合に加入していた場合に支給される給付金が埋葬料となります。埋葬料も葬祭費と同じく、5万円前後が相場です。ただ、社会保険や共済組合によっては独自の給付金制度を設けていることも多く、受け取れる金額が10万円以上になることもよくあります。
ちなみに埋葬料は故人と生計を共にしていた家族が受け取るものです。しかし、故人が高齢などで葬儀を執り行う身内がいないケースもあるでしょう。この場合は埋葬料ではなく埋葬費として、葬儀を執り行った人が給付金を受け取ることができます。また、故人本人が社会保険などに加入していた際に受け取れる埋葬料の他に、社会保険に加入している人の家族が亡くなった際に受け取れる家族埋葬料という給付金も存在します。
葬祭費・埋葬料はそれぞれ自動的に受け取れるものではなく、申請手続きが必要となります。それでは葬祭費・埋葬料それぞれの申請方法を見ていきましょう。
葬祭費を申請する際に用意するのは、故人の保険証・葬儀の領収書・喪主の身分証明書・印鑑・通帳・死亡診断書の6点です。もし喪主以外の人が手続きをしたり、喪主以外の人の口座への振り込みを希望する場合は委任状が必要となります。また、葬儀の領収書が葬儀のためのものとわからないと手続きがわかりにくいので、領収書には「葬儀代金」とはっきり名目を記載してもらいましょう。加えて、故人が世帯主だった場合は個人本人だけでなく家族の分の保険証も忘れずに準備しておいてください。
これらの書類を全て準備したら、故人が住んでいた地域の役所へ向かいましょう。役場に国民健康保険葬祭費申請書という書類があるので、あとは必要事項を記入して、年金課など指定の窓口に提出すれば手続き完了です。葬祭費の申請に必要な書類は自治体によって異なります。領収書などに関しても、コピーで良いところもあれば、原本の提出が必要なところもあるので、必ず自治体のホームページなどで確認をしたうえで申請手続きを行ってください。また、近年では葬儀を行わずに火葬のみで済ましてしまうケースも少なくありません。しかし、あくまで葬祭費は葬儀にかかった費用に対する補助金であり、火葬のみだと葬祭費を受け取れないことがあります。こちらも自治体次第なので確認しておきましょう。
埋葬料は故人が加入していた健康保険組合や共済組合などに、葬儀を行った後に喪主が直接請求することで受け取れます。準備する書類は死亡診断書や死体検案書のコピー・火葬許可証のコピー・喪主の口座番号がわかる書類・印鑑・喪主の身分証明書の5点です。この際に、故人の社会保険の資格喪失手続きも一緒に行うと手続きがスムーズに進むでしょう。
葬祭費と異なり、埋葬料の申請には葬儀の領収書が必要ありません。葬祭費は故人の葬儀にかかった費用に対する給付金ですが、埋葬料は故人の埋葬にかかった費用に対する給付金に当たります。そのため、埋葬料の場合は葬儀を執り行った事実がなくても基本的に受け取れます。稀に葬儀を行っていないと受け取れないこともありますが、埋葬料の場合はお別れの会など簡易的なものでも申請できるケースが多いです。
また、家族埋葬料の申請の場合は埋葬料の申請に必要な書類に加え、故人が家族だったことを示すために、除籍謄本や住民票の提出が必要となります。埋葬料が受け取れるタイミングに関しては、早くて2週間、遅くて1ヶ月程度と考えておきましょう。
葬祭費や埋葬料の申請期間は原則2年です。ただ葬祭費と埋葬料でいつから2年なのか、基準点が異なります。まず葬祭費の場合は「葬儀を行った日から2年以内」です。それに対して埋葬料・埋葬費・家族埋葬料の場合は「故人が亡くなった日から2年以内」となっています。これらの給付金の手続きに関しては、葬儀を行ってすぐのタイミングで終えてしまう人が多いでしょうが、葬儀の手続きなどで忙しすぎて給付金の存在を忘れてしまうこともあるでしょう。特に埋葬料の場合は数十万円を受け取れることもあるので、忘れる前にできるだけ早く手続きを済ませてください。
葬祭費・埋葬料は故人が加入していた健康保険の種類によって申請先や受け取り条件が変わります。人が亡くなるとたくさんの手続きが必要になるため忙しくて大変でしょうが、葬祭費・埋葬料の受け取りは忘れてしまいがちなので、できるだけ早く手続きを済ませて受け取ってください。また、各自治体・健康保険組合によって必要書類が異なることから、不明点があった際の問い合わせも早めに行いましょう。
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