葬儀後手続きには、さまざまなものがあります。では、遺族としてやるべきことにはどのようなものがあるか見ていきましょう。
地域や葬儀会社などによって異なりますが、葬儀費用の決済は葬儀が終わってすぐに行われるのが一般的です。あらかじめ見積もりが出されているいることは多いものの、追加費用などが出る場合もあります。見積もりより多少余裕を持って支払いに備えていた方がいいでしょう。ただし、カード決済に応じてくれる葬儀会社も増えています。
健康保険に加入している人が亡くなった場合は、埋葬料や葬祭費などが支給されます。申請できるのは、国民健康保険の場合、死亡から2年以内が原則となっています。国民健康保険の申請先は居住地の役所で、国民健康保険被保険者証と死亡診断書など死亡を証明できる書類、葬儀を行ったことを証明する書類などが必要です。労災保険は、管轄の労働基準監督署に申請を行います。労災の場合、書類は死亡診断書などがあれば問題ありません。
故人が年金受給者だったときは、年金受給の停止が必要です。手続きはできるだけ早めがよく、国民年金の場合なら死亡から14日以内とされています。申請先は加入していた年金によって異なります。国民年金なら居住地の役所、厚生年金なら年金事務所、そして、共済年金は共済組合です。その際、故人が加入していた年金証書、故人の死亡事項を記載した戸籍謄本もしくは住民票除票、そして申請者の印鑑などが必要になります。
さらに、未支給の年金がある場合は受け取ることが可能です。申請先は上述した通りで、故人が加入していた保険に応じて異なります。必要な書類は停止の手続きと変わりませんが、年金や申請者との続柄によって異なることもあるため、事前に確認しておくといいでしょう。また、故人が配偶者で子どもがいる場合は、死亡から5年以内の手続きで遺族年金の受給も可能です。
故人が世帯主であれば、世帯主の変更をする必要があります。用意する書類は、国民健康保険被保険者証や申請者の印鑑、本人確認書類などです。戸籍変更手続きは原則として死亡から14日以内とされていますが、できるだけ早めがいいでしょう。
故人の相続については、相続税を納めるところまできちんと行わなければなりません。相続といっても、内容によっては放棄することもできます。例えば、故人が借金を抱えていた場合、相続をすれば借金など負うことになります。ですから、故人の資産状況を把握したうえで慎重に行う方が得策です。放棄する場合は、相続の開始を知ったときから起算して3カ月以内とされています。放棄するときは家庭裁判所に放棄の陳述書を提出します。
遺産を放棄しない場合は、法定相続人でそれぞれ相続します。遺産相続で重要になってくるのが故人の遺言状です。誰に何を相続させるかは、遺言状の内容が優先されます。相続をするときは、まず故人の遺言状を先に確認しておきましょう。遺言状が存在しないときは、相続人同士で話し合って分配します。もしもまとまらない場合は家庭裁判所に申し立てが必要になります。また、相続税の納期は、相続の開始を知ったときから10カ月以内です。
携帯電話など故人が加入していたサービスの解約手続きを行います。解約については早めに行う方がいいでしょう。電気料金やガス料金など故人名義になっていたものは名義変更手続きをします。また、解約とは異なりますが、運転免許証やパスポートなどあれば、速やかに返納しておかなければなりません。
葬儀が終わったあとは、次の法要までの準備も必要になり、そうそうのんびりしてはいられません。どれも早めに手続きを行うことが求められますが、早めに手をつけておきたいのは年金受給の停止や相続でしょう。葬儀に関する申請や決済も早急に片付けておきたいことですが、葬儀手続き代行業者などを利用することもできます。代行してもらえるものは上手に活用した方が何かと便利です。
年金は早めに停止しておかないと、不正受給と見なされ、罰則を受けることもあります。年金受給者が亡くなったときは、早めに停止手続きを行うことが重要です。また、相続については、早めに故人の資産を把握しておかなければなりません。遺族が知らない借金があれば、早めに放棄する必要が出てきます。他にも、家族以外の法定相続人がいないかどうかの確認が必要です。しかし、葬儀後手続きにはさまざまなものがあり、どれも早急に片付けておくのが望ましいといえます。
事務的な手続きや相続と、遺族がやるべきことは多岐にわたります。実際には故人によって違いますが、葬儀後に必要な手続きは30?50項目にものぼります。遺された家族にきちんと進めてもらうためには、生前のうちに手続きを整理しておくといいでしょう。遺産についても、リストを作成しておくとわかりやすくなります。しかし、自分でできる部分もあれば、自分では難しいものもあります。
例えば、年金や保険に関する手続きは、簡単なようでいて意外と面倒なものです。家や土地の名義変更なども、なかなかできずにそのままになっているケースは少なくありません。手間がかかる手続きについては、専門家に依頼した方が後で面倒になることを回避できます。自分ではできない部分を理解し、それ以外は葬儀手続き代行業者に相談して賢く葬儀後の手続きを行うことが賢明です。
葬儀の後は、さまざまな手続きを速やかに行う必要があります。故人によって違いはありますが、やるべき手続きは30以上はあると思っていいでしょう。しかし、遺族も自分の生活や仕事があり、なかなかスムーズに片付かないことも出てきます。手続き漏れや遅れを防ぐためにも、生前自分で整理しておくことが大切です。そのうえで、必要な部分は専門家に相談し、賢く進められるようにしておきましょう。
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