遺産相続手続きの解説!「遺言」がある場合は?






「遺言」とは?

遺言の基礎知識とやっておくべきこと

遺産相続の前に、必ず確かめたいのが遺言書の有無。理由は、有効に作成された遺言書があるなら、その内容に従って相続手続きを進める必要があるためです。もしも、先に遺産分割をしてしまい、後から遺言書が出てきた場合は一大事。先に行った遺産分割は失効し、相続手続きがやり直しになるような、法律上の定めがあります。相続がやり直しになると、家や現金に関する取り決めも台無しです。家をもらった人に明け渡しを要求するのは大変ですし、相続したお金は使ってしまったでしょう。このため、やり直し手続きは難航が予想されます。不要なトラブルを防ぐため、何はさておき、葬儀が済んだら遺言書を探しておきましょう。

遺言の効力と有効期限

遺言書は相続手続きが終わっていても、一定条件を満たすと効果を発揮します。その条件は単純で、相続人のうち1人でも「遺言書に従おう」と言ったら、他の者は法律的に対抗できません。たとえ10人中9人が反対しても、1人が「遺言書に従う」と言えば、その意見が通るのです。しかも、遺言には有効期限や、時効消滅の制度はありません。相続が終わってから20年が経っていても、遺言書が見つかったら、遺産分割をやり直す必要性が生じます。遺言は故人の最後の意思ですから、法律的に強固に保護されており、優先度が高いのです。

遺言書を効率的に探す方法

遺言書の保管場所としては、自宅か役所が良く選ばれています。自宅では、最初に仏壇や神棚の引き出しを探してみましょう。他に愛用の机や金庫、クローゼットに保管している方もいます。自宅でなければ、公証役場かもしれません。特に公正証書遺言を作った場合は、こちらに保管されているはずです。相続人なら、公証役場に遺言書があるか否かは簡単に確認できます。なお、2020年から自筆証書遺言を、法務局で保管する制度が始まりました。このため、法務局にも問い合わせておくのがおすすめです。

他には、弁護士や税理士へ委託している場合もあります。本人が生前に相続の方法を決め、専門家に後の処理を依頼しているわけです。生前に付き合いがあった弁護士・税理士があれば、話を聞いてみましょう。なお、友人・知人に預けていることもあります。

遺言書を発見したら?開封はどのようにしたら良い?

開封手続きに注意しよう

遺言書を見つけても、その場で開封してはなりません。法律上、遺言書は家庭裁判所で相続人全員が立会い、適切に開封手続きを行うよう定められています。手続きは、遺言書のタイプによって異なるので注意しましょう。まず、自筆証書遺言は相続人全員が立会って、家庭裁判所で開封します。改ざんや破棄を防ぐのが目的です。裁判所では開封した後に、内容を確かめる「検認」と呼ばれる手続きを行い、遺言書をその状態で保存します。

公正証書遺言は公証役場で作り、そのまま保管してあるのが特徴です。専門家が関与している分、書式の不備や改ざんの危険性がないため、検認手続きは必要ありません。相続人が公正証書遺言の有無を調査し、存在が確認されれば、そのまま相続手続きを進めることが可能です。秘密証書遺言も役場で作りますが、こちらは原則として公的な施設には預けません。自宅などに保管するため、改ざんの恐れがありますから、家庭裁判所での検認手続きが必要です。

勝手に開封したらどうなるの?

うっかり開封しても、遺言自体は無効にはなりません。また、悪意なく開封した程度では、相続人としての資格を失う心配も不要です。ただし、ペナルティーが用意されており、立場も不利になりますから、絶対に自分で開けないようにしましょう。具体的には過料に処せられたり、遺言書の改ざんを疑われたりする危険性があります。

「遺言」に納得できない場合は?

遺言の内容に不満がある場合、相続人には無効にする方法が用意されています。それが、相続人全員の意見一致による、遺言書と違う形での遺産分割です。つまり、相続人の全員が同意すれば、遺言に反した相続処理が可能です。具体的には、相続人が揃って「遺産分割協議書」に実印を押せば、全員の同意を得られたことになります。1人でも反対すると遺言に従う必要がありますが、基本的に相続のやり直しはハードルが高いため、冷静に話し合えば全員合意に至る見込みはあるでしょう。

なお、全員の同意が得られない場合にも、対抗策があります。それが遺留分減殺請求です。この制度は、遺言で指定された自身の相続分が少ない時に役立ちます。法律では遺留分と言って、相続できる財産の最低水準が決まっているのです。これは遺言によっても排除できません。具体的には、遺留分が200万円なのに、遺言で指定された相続分が100万円なら、残りの100万円を他の相続人や受遺者などに請求できます。これにより、最低限ですが、自分の受け取る財産は確保可能です。どうしても状況が改善できない時には、次善の策として検討してみましょう。

実際に遺産分割で揉めたり、遺留分の利用を検討する時には、弁護士に相談するのがおすすめです。相続では、人によっては感情的になる他、自身の発言によって引っ込みがつかなくなる場合もあります。相続問題に詳しい弁護士なら、冷静に交渉や調整を行ってくれるのが魅力。興奮した方や頑固で手に負えない人も、上手く説得できる見込みがあります。また、相続人だけでは思いつかなかった、意外な解決策も見つかるかもしれません。弁護士には専門的なノウハウがあるため色々な面で心強く、万が一裁判になっても安心なので、前向きに考えてみましょう。

冷静な対処が肝心

遺言書は発見のタイミング次第では、相続人にとって不安材料になりかねません。相続手続きの前に遺言書が見つかると安心なので、早い段階で探すようにしましょう。もし相続後に見つかったら、相続人全員を集めて、できるだけ冷静に話し合うことが大切です。専門家がいると、客観的事実や裁判になった場合の見通しも交えて、スムーズに話し合えるようサポートしてくれます。

この記事を書いた⼈

日比谷花壇のお葬式 コラム編集部




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