作成日:2015年04月01日 更新日:2022年08月22日
日本の場合「キリスト教式の葬儀」というと何か特別なことのようなことのように思われます。しかし要所要所のポイントさえ押さえておけば、決してキリスト教式の葬儀も恐れる必要はありません。むしろキリスト教はカトリックとプロテスタントに分かれていることを忘れ、両者を混同したまま葬儀に出席することの方が、問題になる可能性は高いです。ここでは特にプロテスタントの葬儀について、一通り述べることにします。
同じキリスト教の葬儀といっても、宗派によってその意味合いや手順に関して異なる面がいくつかあります。特にプロテスタントとカトリックの間ではかなり大きな違いがあります。カトリックの葬儀に出席した経験のある方が「同じキリスト教だから」という気持ちでプロテスタントの葬儀にも出席すると、相当とまどうことになるでしょう。その点は注意しなければなりません。
プロテスタントの葬儀は厳粛なミサが伴うカトリックと異なり、悲しみの中にあってもどこかアットホームな雰囲気が漂っているし、進行もカトリックに比べて簡素です。葬儀の進行に関しても、故人自身や遺族の意向を反映しやすい面もあります。
厳粛なカトリックのスタイルに慣れている人は、そのシンプルさに拍子抜けするかもしれません。逆にキリスト教式への列席がはじめてだという人は相当な緊張を感じるかもしれませんが、少なくともプロテスタントの葬儀ではもっと落ち着いても良いと思います。
プロテスタントの場合、本人の所属する教会の牧師を呼ぶところから、すべてがはじまります。
仮に葬儀社が葬儀全般を取り仕切るにしても、牧師はキーマンとなります。そして「牧師」を絶対に「神父」と混同しないこと。プロテスタントの場合、聖職者は「牧師」であり、カトリックの「神父」と混同すると大変失礼です。またプロテスタントに限らずキリスト教の場合、仏式の葬儀の場合のように友引を特に気にすることもありません。
通夜や告別式の会場は、故人の所属教会で行われるのが普通です。しかし最近は、仏式の葬儀の場合と同様に、式場が教会ではなく一般的なセレモニーホールで行われる場合もあります。
そのため通夜から告別式に至る一連の儀式は、主なる神を讃えると共に故人の思い出をしのび、遺族を慰めるという意味を込めて行われます。プロテスタントの場合、通夜を「前夜式」と呼び、当日の式は一般と同様「葬式」や「葬儀」と呼ばれることが多いです。
葬儀の内容は、牧師の司式のもとで行います。内容は聖書の朗読、祈りや讃美歌、牧師の説教、献花などです。朗読する聖書の箇所や讃美歌は、故人が好きだったものが選ばれることが多いです。故人が生前にあらかじめ指示しておくといった場合すらあります。
式が終わると、仏式やその他の場合と同様、遺族代表の挨拶などが行われ、故人の遺体は火葬場へ出発します。外国ではクリスチャンは土葬の場合が多いようですが、日本ではキリスト教徒といえども、ほとんどすべて火葬です。
火葬が終わった遺骨は日を改めて埋葬します。あらかじめ用意された墓の場合もありますが、教会附属の納骨堂に納められることも多いです。
プロテスタントでは、仏壇のような特別な場所を設けるという習慣はありませんん。納骨までの間、遺骨はサイドテーブルなどの適切な場所に、花や故人の好きなものと一緒に保管しておくとよいでしょう。
プロテスタントの場合、故人の魂は亡くなるとすぐ主なる神に受け入れられるという考えを前提にして葬儀が行われます。したがって葬儀は故人の供養などを目的として行うわけではありません。
主なる神を讃え、故人の生前の思い出をしのび、遺族を慰める目的で葬儀は行われます。葬儀で何か取り返しのつかない誤りをするかもしれないといった心配は不要です。式次第に則って、葬儀は粛々と進んで行きます。