葬儀における祭壇が宗教ごとに飾りつけのポイントは異なります。それぞれの宗教ごとに気を付けるべき祭壇の飾りつけの注意事項を解説します。
本来、葬儀に使われる祭壇とは、葬列に必要なものを並べて棺を祀るためのものでした。葬儀でよく使われる伝統的な白木祭壇の上部に、屋根がある家のような装飾が見られるのは、葬列の際に棺を据える輿を表現しています。加えて、祭壇に置く位牌や遺影、彫刻などがあしらわれている装飾品も輿と同様で、もとは葬列に必要な葬祭用品でした。火葬が一般的になった現代では葬列を組んで故人を送る文化は廃れていますが、故人を偲ぶためのツールとして祭壇は葬儀で広く使用され続けています。
無宗教葬は、さまざまな宗教のように葬儀へ決まったルールがなく、自由な発想で執り行えるのが特徴です。主に、信仰を持たない、家族の中でも信仰する宗教が異なる、お経は必要ないと感じるなどの理由で選択されると言われます。宗教儀礼がないのに祭壇を利用するケースが多いのは、やはり故人を偲び、安らかに見送りたいと言う気持ちを表すためです。このような遺族の想いを表現するのに時代は勿論、宗教も無宗教も関係ありません。また、無宗教葬の祭壇には、飾りを自由にデザインして、故人の趣味や特徴などを表現し、思い出を呼び起こす役割もあります。無宗教葬では多く花祭壇が選ばれますが、特殊な表現が可能なオリジナルの祭壇も利用しやすく、予算に余裕があるケースで使われるようです。
オリジナル祭壇は各宗教でも使えますが、宗教宗派ごとの規則に縛られます。一方、無宗教葬の場合はデザインや飾り、葬儀のスタイルについて自由ですので、自由な世界観で個性的な葬儀を執り行えるでしょう。祭壇を使わない無宗教葬も見られますが、葬儀の世界観を表現するのにも祭壇は使用しやすいとも言えます。
無宗教葬の花祭壇では、故人らしさを演出するために人生や思い出、趣味趣向などを表現するようなデザインにするのがポイントです。例えば、ゴルフが好きだった、電車好きだったなどの特徴を表現するために、花や葉でゴルフ場のグリーンや電車を再現したり、明るい性格だった故人のためにヒマワリを多く飾ったりもできます。宗教儀礼に沿った葬儀ではない分、花祭壇の飾りつけにこだわって、故人との思い出を偲び、遺族がどのように故人を送ってあげたいのかを表現できるデザインにするのが大きなポイントです。花祭壇へ風船をアレンジする、故人が描いた絵画や、コレクションの数々を飾るなども良く見られます。遺影だけでなく写真を多く飾り、故人が持っていたプライベートの顔を披露するケースも多いです。
自由なアレンジが可能な無宗教葬は、荘厳なイメージがなくて良いですし、儀式的に執り行う必要もありません。一方で、形式が存在しないため花祭壇の飾りつけは勿論、葬儀の流れも一から考える必要があり、デザインや計画にかける時間がかかりがちです。また、例えば、故人が赤いバラが好きだったため、バラの花で赤く燃えるような花祭壇をデザインしたいと思っても、親族や参列者から理解を得られるかは分かりません。無宗教葬に対して理解がある人ばかりではなく、葬儀は厳かに執り行うべきと考えるケースは多いです。
赤をイメージした花祭壇にしたい、花祭壇にギターを飾って会場内にロック音楽を流したいなど、従来の葬儀とはかけ離れたスタイルを選択する場合には、無宗教葬を選択した遺族の気持ちや故人の遺志を周囲に伝える努力も必要です。加えて、無宗教葬や自由葬に対する実績がない葬儀社へ依頼すると、花祭壇のデザインが希望通りにならなかったり、制限があったりする場合もあります。自由度の高い花祭壇や演出を受け入れられない式場もあるので、無宗教葬を執り行う場合には葬儀社の実績を調べてから依頼するようにしてください。
広さや規模に限りがある場所で葬儀を行う場合にも、葬儀社の担当スタッフへ事前に相談して、花祭壇のサイズをよく考える必要があります。会場の広さや天井の高さに適した祭壇を選ばなければ設置が難しいケースもあるでしょう。高価で大きな花祭壇を綺麗で豪華だからなどの理由で選ぶ場合は、葬儀の規模だけでなく故人のイメージや人柄に適しているかも考える必要があります。例えば参列者が少ない小規模の葬儀に、豪華すぎる花祭壇を設置すれば参列者へ違和感を与えかねません。見栄を張りたいためにただ豪華な花祭壇を選ぶのは避けて、適切な価格帯の種類を選択すると葬儀とのバランスが良くなり、後悔が少なくなります。
近年では無宗教葬を執り行う人が少しずつ増えつつあります。無宗教葬でも故人を偲ぶために祭壇は使われ、自由に花祭壇をデザインして思い出などを演出しながら、華やかな雰囲気で故人を送ろうとするケースは多いです。葬儀社によって無宗教葬の実績は異なるので、経験豊富な葬儀社を選んで希望通りの祭壇をデザインしてください。
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