合掌という行為自体は、仏教の発祥地であるインドから伝わっています。仏教では右手を仏、左手を衆生と表現しており、両手を合わせることで仏と衆生が一体となって成仏を願うという行為になっています。
この場合、仏様に向かって拝むという行為を合掌で表していますので、仏教に関する行事では合掌という行為がよく見られるのです。一方、インドでは日常生活でも人とすれ違う際や別れ際などに合掌することがあります。この場合は、相手に対しての敬意を表しており、恭しい挨拶として行われています。
日本では挨拶としての合掌はそれほど一般的ではありません。葬儀中、読経の際の合掌は仏様を拝むために行いますが、焼香の際の合掌は、仏様に対して故人のことをお願いしますという気持ちを込めて行う行為になります。
このように、具体的な意味合いを理解したうえで合掌をするようになると、流れ作業ではなく、きちんと仏様のことや故人の行く末などを考えて手を合わせられるようになるでしょう。
合掌はただ単に手を合わせればよいというものではありません。右手が清らかなもの、左は不浄なものという認識があり、手を合わせることで衆生である人間が仏さまの境地に近づけるという思いのもとで行われているのです。そのため、美しい姿勢、手を合わせた時の落ち着いた気持ちを大切にして合掌をするのが良いでしょう。
正しい合掌のしかたはまず指と指の間は離さず、ぴったりとくっつけます。指は曲げず、まっすぐに伸ばしましょう。手のひらをぴったりと合わせ、胸のあたりに胸には触れないようにしておきます。手のひらの角度は指先を前方に45度くらい傾けた状態で肘は張らず、肩の力を抜くと自然な姿になります。手をきちんと合わせたら目を閉じて、頭を会釈程度の角度で下げます。首だけを曲げずに上半身を傾けるようにするときれいな会釈になるでしょう。通常、合掌を終えた後には両手にかけていた数珠を外し、房が下になるようにして左手で持ちます。
合掌の正しいしかたについては、宗派ごとの違いというのはほとんどありません。ですが、数珠の持ち方や焼香などに関しては宗派ごとに細かい違いがありますので、自分の宗派と異なる葬儀に参列するときには注意が必要です。
例えば、日蓮宗や真言宗では数珠を中指だけにかけて合掌しますし、浄土真宗では本願寺派は二重にした数珠を手にかけて房を垂らすのに対し、大谷派は親指と人差し指の間で挟み、房は左手側に垂らします。浄土宗では親指だけに数珠をかけ、禅宗は左手だけにかけるなどずいぶん違いがありますので、周囲を見てから持ち方をまねるとよいでしょう。
合掌の正しいしかたについては、宗派ごとの違いというのはほとんどありません。ですが、数珠の持ち方や焼香などに関しては宗派ごとに細かい違いがありますので、自分の宗派と異なる葬儀に参列するときには注意が必要です。
焼香の仕方についても、回数や押し頂くかどうかの違いなどがありますので、自分の前に行っている参列者に倣うか、前もって葬儀社のほうで確認しておくと安心です。
とはいえ、基本的には故人の冥福を祈ること、仏さまに手を合わせるという気持ち自体が最も大切です。あまり作法にばかりとらわれすぎず、誠心誠意葬儀の儀式に参加しましょう。
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