仏教のお葬式についてもっと詳しく知る
日本に仏式葬儀が多い理由

寺院や自宅にて仏教の僧侶がお経を上げ亡くなった方を供養する、そのような仏式葬儀を日本ではとても多くの方が選択しています。
神式やキリスト教式など、仏式以外の葬儀方法が存在する現代においてなぜ多くの方が仏式葬儀を選択するのか、歴史的背景や文化的背景から考えると多くの方が仏式葬儀を選ぶいくつかの理由が見えてきます。

現代の日本人における宗教観

熱心な仏教の檀信徒のみならず、なぜそうではない多くの日本人までもが仏式葬儀を選択するのか、その答えを探ると日本人における宗教への意識を挙げることができます。

現代の日本においては信教の自由が認められ、たくさんの宗教が存在し、それぞれの宗教に厚く信仰をささげる信者が存在します。
では、そのような熱心な信者以外の宗教に興味がない日本人は完全に宗教とは無関係な生活を送っているのかと言えば、決してそうではありません。
宗教に興味がなく宗教を意識していない日本人であっても、その生活には宗教的な行事や慣習が浸透しています。
例えば、お正月や七五三に行く神社は神道の宗教施設ですし、鶏肉やケーキを食べたり親が子にプレゼントを贈るクリスマスはキリスト教やミトラ教のお祝いです。
食事の前後に行う挨拶も仏教由来です。
このように、日常では宗教だと意識していなくても生活の中に当たり前のように浸透している宗教的意味合いのある行事や慣習が日本にはたくさんあります。
これらと同様に、特定の熱心な信仰を持っていない方でも、仏壇に手を合わせることや仏式の葬儀を執り行うことを当然のことだと考える人は多いのではないかと考えられます。

仏式葬儀が浸透した歴史的背景

約1500年前に仏教が日本へ伝えられて以来、官民共に仏教が深く浸透していきます。
飛鳥時代の十七条憲法には仏を敬うよう記載され、奈良時代は東大寺に大仏が作られ、平安時代は遣唐使を中国へ送り、鎌倉時代には現在も続く有名な仏教の宗派がいくつもできました。
人々は何かを願ったり祈ったりする対象として仏を受け入れ、時の権力者もこれを治世のために役立てます。
江戸時代には幕府が寺請制度を定め、人々は必ず寺院の檀家となることを求められました。
寺請制度の下で寺院は檀家となっている家庭の出生や死亡、家族構成などを把握しました。

一方で人々は寺院の発行する檀家の情報が詳しく書かれた証文を引っ越しや結婚、旅をする際などに身分証明のために活用したり、死亡した際に寺院に葬儀を上げてもらうなど、寺院が一方的に住民情報を管理するだけでなく人々も寺院を生活や人生における出来事においても活用しました。
このように人々はその信仰心のみではなく生活上の必要からも寺院と深く付き合い、寺院の上げる葬儀が当たり前の時代が何百年も続き、仏式の葬儀が広く深く生活の一部として浸透し定着しました。

広く浸透したからこそ多く選ばれている仏式葬儀

現代の日本は、寺請制度があり仏式葬儀しか選択肢のなかった江戸時代とは異なり、信仰する宗教も葬儀の方法も自由に選択することが可能になりました。
仏教を厚く信仰しその強い信仰心がゆえに仏式での葬儀を行う人がいる一方、仏教ではない別の宗教の教えを信仰しその宗教の方法で葬儀を上げる人もいます。

それ以外の人、例えば神社にもお寺にも行きクリスマスもイースターも祝うような特定の宗教に強い信仰を寄せていない人は葬儀を行わないのかと言えば決してそのようなことはなく、仏式葬儀を選択する人がいます。
熱心な仏教徒でなくても、父母や祖父母などと同じ方法で弔ってほしいと思う人や、宗教的理由ではなく慣習として仏式葬儀を当たり前だと感じる人、宗教や葬儀に拘りがないからこそ多くの人が慣れている仏式葬儀で滞りなく葬儀を行いたいと思う人など、理由や思いはそれぞれでも、長く広く浸透している仏式葬儀を選択したいと思う人は現代日本でも多くいます。

まとめ

全ての人が菩提寺を持ち檀家となることが義務付けられていた寺請制度は、はるか昔、明治維新に伴ってなくなりました。
しかし、それでも仏式葬儀を現代日本人の多くが選択するということには理由があります。
人々の仏教との付き合いの歴史、現代の日本人の宗教観、現代日本人ならではの葬儀への思いや事情など、その浸透の深さと歴史の長さは多くの人に仏式葬儀を選択する理由を与え続けています。