作成日:2015年04月01日 更新日:2022年08月22日
無宗教式葬儀とは、特定の宗派や信仰にある伝統的な作法などの儀礼や形式で執り行わない葬儀の事で「自由葬」とも呼ばれます。自由葬というくらいですので、たとえば故人が好きだった音楽を流したり、生前のビデオや写真で故人の人柄を偲んだりといった自由形式にする事が可能です。ただ、仏式の葬儀は参列する機会もありますが、無宗教葬儀はなかなか無いと思いますので一例を見ながらどういった葬儀なのか見てみましょう。
仏式であればそれほど頭を悩ませる必要はないのですが無宗教葬儀ではどういった感じで参列するのがよいのでしょうか。
まず服装ですが、遺族からの希望が無い場合は略式の喪服を着用するのが良いようです。
男性であれば黒のスーツに白のワイシャツ、黒のネクタイ、女性であれば黒のワンピースにパールにネックレスといった感じです。
ですが故人の希望で平服で参列してほしいという場合もありますので、その場合は地味目の服を着用するとよいでしょう。数珠は仏式ではないので持っていなくても問題ありません。
湿っぽい葬式は嫌なので楽しく送り出したいと故人や遺族が希望した場合には通常の普段着を希望される場合もあろうかと思いますが、この場合も希望を尊重するのが正しいでしょう。
香典は無宗教葬儀でも持参するようにします。
白黒の水引は無くてもよいので一般的な不祝儀袋や白無地の封筒を使います。
表書きはどの宗教でも使える「御霊前」や「御香典」と書き、名前はフルネームを薄墨で記入します。香典についても遺族や故人が辞退している事がありますので、そういった時は先方の意向に沿うようにします。
それでは無宗教葬儀の告別式はどういった式次第なのでしょうか。
まず遺族と参列者が式場に入場します。入場の際には生前故人が好きだった音楽を流したり、場合によっては生演奏したりする事もあります。
入場が終わると開式の辞。遺族代表や依頼していれば司会者などが葬儀の開会を告げます。
この時、無宗教葬儀を今回執り行う理由について簡単に説明する事もあるようです。
開式の辞に続き、全員で黙祷を捧げます。
故人の経歴や思い出といった事柄についてナレーションや写真、ビデオなどを使って紹介していきます。
参列者が故人とのエピソードを語ったりする事もあるでしょう。
故人の人柄や楽しかった思い出を語り合う時間です。
続いて弔辞。親しかった友人などからお別れの言葉を伝えてもらいます。
最後に喪主の挨拶と参列へのお礼を述べて閉式の辞とし葬儀を終えます。
大体こういった流れで進行する場合が多いようですが、自由葬ですのでこれも決まっておらず、たとえば献花が間に入ったりする場合もあります。
これまで見てきた通り、従来の仏式などに比べ故人を偲ぶ式という点では無宗教葬儀は故人とその遺族にはメリットが多数ありますが問題点もあります。
まず無宗教葬儀は親族の同意を得にくい形式です。
無宗教葬儀は最近になって行われ始めた葬儀形式であり、日本で行われる葬儀がほとんど仏式なのに対して10%程度と世間的な認知度もまだまだです。
広く一般に理解されている訳でもないので、いくら故人が強く希望していたからといっても親族の中には仏式でなければ成仏できないと考える人もいることでしょう。
こういった方を納得させなければ後々遺族の間でのトラブルになる可能性があります。
また菩提寺がある場合、無宗教では戒名を受けることができませんので先祖のお墓に埋葬する事ができない可能性が出てきます。
こういった場合は公営墓地などに埋葬する方法もありますがこれも親族に理解を得にくいでしょう。
さらに無宗教葬儀は49日や一周忌などの宗教的な行事が無いので、そういった故人を偲ぶ行事をどうするか?といった問題もありますので注意が必要です。
お墓もそうですが最近では従来の形に囚われない無宗教葬儀が少しずつ行われ始め、これからも増えていくでしょう。
無宗教葬儀のメリットは故人と遺族、参列者が共に思い出を語り合いの場を多く持てる点です。
先に見たとおり、無宗教葬儀にはいくつかの問題点はありますが仏式でも無宗教でも故人を送り出す気持ちは同じなのだと思います。
無宗教でも仏式でも同じ気持ちで臨みたいものです。