一般的な葬儀を行う場合には、親戚や友人、仕事上の付き合いがあった人など多くの人が参列してくれます。故人のお別れの場として、参列者が少ない静かなものよりはいいと思うかもしれませんが、家族から見ると次々にやらなければいけないことがあり、義務的に時間に押されながら葬儀を行わなければいけないというケースは少なくありません。
葬儀が終わった後に、多くの人と会うことによる疲れなどが原因で、寝込んでしまうこともあります。
それに対して家族葬は、基本的には家族だけで行うものです。そのため故人様の友人や仕事関係の人など、喪主・遺族にかかわりの少なかった人へのあいさつや気遣いなどが不要です。一般的な葬儀のような「親の葬儀の時に来てもらったから、特に付き合いはないけれど」というような理由の、付き合いで葬儀に来ているという人はいませんから、本当に故人との別れを惜しむ人たちと、ゆっくりと別れの時間を持つことができる特別な時間を過ごすことができます。
一般的な葬儀では、行うことは決まっています。多くの人が参列していますので、特別なことは行われません。宗教が違ったとしても、多くの葬儀では僧侶の読経や焼香がある、というような大まかな流れは決まっています。これは多くの人のイメージとして「葬儀とはこういうものだ」というイメージがあることも大きな理由となっています。
しかし、家族葬の場合にはそのような「葬儀とはこういうものだ」という従来のイメージにとらわれる必要はありません。
参列するのが家族だけという形になりますので、故人が音楽が好きだったのならば音楽をかける、という葬儀の形は従来からありますが、その音楽がクラシック以外の場合には参列者の中には眉をひそめる人もいるかもしれません。
しかし家族葬ならば、家族だけしか参列しませんので、故人の好きだった音楽を聞きながら最後のお別れの時間を作ることもできます。家族にしかできない、故人のための葬儀を演出することができるのです。
家族葬は、近しい親戚や友人以外は参列しません。そのため、家族葬が終わったとしても故人の友人などが弔問に訪れることがあります。その数は一般的な葬儀を行った場合よりも多くなってしまいます。故人の交友関係が広かった場合、一般的な葬儀ならば、通夜や葬儀の当日に参列してもらえばそれで終わりになりますが、家族葬の場合には親戚や友人は最後のお別れが出来ないということになります。
そのため、どうしてもお別れをきちんとしたい、という人たちが休日などに弔問客として訪れるケースは少なくありません。特に休日になると弔問客は多くなりますので、その対応に時間をとられてしまうケースがあります。
このような事態を防ぐために、葬儀は家族葬として行ってしまい、後日きちんと親戚や友人などを集めて「お別れの会」を開くこともあります。こうすることで自宅への弔問客が減少しますが、お別れの会を行うための準備に時間をとられてしまう点にも注意が必要です。
家族葬は故人とゆっくりと別れの時間を取ることができる、という家族側のメリットと同時に、故人と最後のお別れが出来なかったという、故人の友人たちにとってはデメリットが生じてしまうことがあります。いざという時に急に葬儀の形を決め、後で困らないよう、事前にどのような葬儀の形を望むのかを家族でしっかりと話し合っておくようにしてみてください。
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