作成日:2015年04月01日 更新日:2022年08月20日
家族構成の変化や時代の流れとともに、葬儀の形も多様化しています。
最近では「家族葬」が注目されています。実は家族葬には明確な定義はありません。
家族や親族、親しい友人などを中心に執り行われる少人数のお葬式の総称として用いられています。家族葬とはどのようなものなのか?増えてきている背景や、どのような人たちが家族葬を選択しているのかを検証します。
家族葬という言葉を聞くと、以前から行われていた密葬と思われる方も多く見受けられますが密葬とは違います。
密葬は近親者で葬儀、火葬を行った後に、日を改めてお別れの会や本葬を行います。
密葬と本葬を合わせて一つの葬儀の形になり密葬だけという事はありません。
一方、家族葬の場合は、家族や親族、親しい友人や知人など近親者だけで葬儀や火葬を行い、それだけで一つの葬儀の形となります。
後日、本葬やお別れの会が催されることはありません。
また、家族葬は一般的な葬儀の小規模な形のものを指すことが多いですが、宗教にこだわらない比較的自由な形で執り行われたり、故人と家族との別れを大切にするスタイルなど様々な形式があります。
家族葬は特に決まっている形がないため、古くからあるしきたりやマナーにこだわらず、故人が好きだったものを取り入れたり、アルバムなどを見ながら故人を偲ぶなど、遺族や故人の遺志に沿った形で執り行われることが増えてきています。
葬儀の形式として家族葬が選択されることが近年増加している理由のひとつとして高齢化社会があげられます。
サラリーマンであった場合は職場を退職してから亡くなるまで長い期間があり、葬儀に仕事関係の参列者が減り家族などの近親者だけの葬儀が増えてきています。
高齢になり高齢者施設などに入所していて亡くなった場合は、亡くなったことを知らせる人も少なくなります。
また、核家族が増えてきたことや社会的、経済的な事情から、葬儀にかかる費用に対する価値観の変化や宗教に対する考え方の変化が家族葬が増えている背景にあると言われています。
昔は葬儀は自宅で執り行われ、近所の方に手伝ってもらうなど付き合いも盛んでしたが、現代では近所間の関係性も薄くなり、葬儀も会場などを利用するため近所間の手伝いの必要もなくなりました。
従来の葬儀が形式的と感じている人も多く、質素な葬儀をのぞむ人が増えていることも家族葬が増加している一因となっています。
葬儀とは人の死を弔い故人を悼む儀式です。
この儀式には宗教的な意味合いや役割がありますが、社会の変化とともに宗教に対するとらえ方も変化してきています。
そのため無宗教のスタイルで葬儀を執り行い、家族や身近な親しい人と故人との別れを大切にしたいと希望で家族葬を選択する方が増加しています。
また「葬儀にあまり費用をかけたくない」「故人の遺言でこじんまりとした葬儀にしたい」「故人が高齢のため友人も知人も少ない」などの理由で家族葬は選ばれています。
家族葬は近親者で執り行うため、近所や仕事関係などの参列を断ることになります。
参列者を限定することになるので、葬儀は家族葬で執り行うことを明確に伝えておくことが、「知らせてほしかった」という故人の友人や親戚がでてくるなどのトラブルを防ぐことになります。
あとから訃報を知った友人や親戚などが、お悔みに訪れることもあるでしょう。
家族葬だからと参列者を少なくしてしまうと、故人との関係性によって親族や友人まで参列の範囲を広げることが必要になる場合もあります。
家族葬は特に決まったルールがなく葬儀の形式も様々です。
時代の流れ、宗教観や価値観の変化とともに葬儀のスタイルも変わってきています。
参列者を限定するため、身近な人たちと故人を静かに見送ることができる家族葬は現代のニーズに合った葬儀の形のひとつになっています。
注意点として祭壇等の自己負担は一般の葬儀と変わらないため、家族葬は必ずしも費用がかからないわけではありません。
家族葬を検討している時は、家族葬を取り扱う葬儀社などに相談してみましょう。